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【SVリーグ女子】大阪マーヴェラス、完勝で初代女王に 圧倒的な強さはこうして生まれた (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【去年の悔しさを胸に】

「去年のリベンジ」
 
 それは御旗になっていた。昨シーズンの最後のVリーグ、マーヴェラスはレギュラーラウンド1位になりながら、ファイナルではNECに敗れ、女王の座を逃していた。その無念さは、推して知るべし、だろう。今シーズン、SVリーグでもレギュラーシーズン1位となり、彼女たちは負けるわけにはいかなかった。準備のところで、執念が力を底上げした。

「去年、悔しい思いをしていました。それが今年も決勝でNECとの対戦になったのはうれしかったです。何かの理由があって、こうして戦うことになったんじゃないのかなって」

 林はそう説明したが、ヒロインたちは、物語を、宿命を感じていた。その決意は侮れない。この日、気力を充実させた彼女は、プッシュやブロックタッチを狙った技巧的スパイクを見せていた。

「去年は自分が足をケガして、それが理由で負けたわけではないですが、"チームに迷惑をかけて申し訳ない"と思っていました。だから、"チームのために優勝したい"って決勝に入り、チームを勝たせたることしか考えていませんでした。やるべきことをチーム全員でやると、マーヴェラスはすごく強いチームなんだと、あらためて感じました」

 決勝は1試合目から勢いがあった。マーヴェラスは、試合立ち上がりから田中がサーブでエースを決めるなど"サーブで崩し、ブロックで優位に"という展開を作り、8-0とリード。結局、この差を縮めさせることなく1セット目を取ると、2、3セットもサーブ、ブロックで有利に立ち、ボールを上げ続け、撃ち合いの中でスパイクを決めた。ことごとく先手を取っていた。

 2試合目のサーブ効果率は落ち、なかなか連続でブレイクはできなかったが、勝負どころでしぶとかった。

「NECさんはスタートから勢いよく来ると思っていました。その中で、マーヴェラスの強みであるブロック、ディグ(スパイクレシーブ)は生きていたし、"この仲間なら優勝できる"と思っていました」

 リベロの西崎は言う。不落の守備が勝利をもたらした。

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