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【SVリーグ男子】髙橋藍「決勝はウルフドッグスの分まで戦う責任」 準決勝、騒然の結末 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【日替わりのヒーローが誕生】

 その言葉は予言めいていた。もしレギュラーシーズンを引きずっていたら、切り替えられなかったかもしれない。

 実際、ウルフドッグスとの準決勝はカオスだった。1試合目は2セットを連取したあと、3セット目も25-24とマッチポイントに持ち込みながら、奪いきれなかった。すると、ひとりだけ異世界から来たようなニミルの超人的スパイクを浴び続けて、セットカウント2-3と大逆転を許した。

「1、2セットも確かに(得点は)決まっていましたが、触られている回数も多くて......」

 サンバーズの日本代表ミドルブロッカー、小野寺太志は言う。

「ウルフドッグスが3セット目に突然、変わったわけではありません。もともと彼らはディフェンスがよく、最後にニミルが決めるスタイル。自分たちは1点がほしかったところで相手にやられていました。そうしたシチュエーションが続いてストレスはあって......拾われても打ち続ける、負けずにやることが大事でした」

 どちらに転んでもおかしくない勝負だったのは間違いない。勝負の潮目が変わる時、その渦の流れは強力だった。

 2試合目、サンバーズがセットカウント3-0とストレートで勝てたのは、単純な完成度の差が出たことによる。サーブで崩し、ディフェンスで優位に立って、攻撃を旋回させる。そのチーム戦略が濃厚に出た。

 そのなかで"日替わりのヒーロー"が生まれている、アウトサイドヒッターにデアルマス・アラインではなく、アレクサンデル・シリフカを先発に起用。これが功を奏した。

「ベンチから、(1試合目で)すばらしいゲームをしているのは見ました。あと少しで勝てたはず。ひとつかふたつのボールを拾う、あと1%を頑張れるか、と思っていました。」

 シリフカはそう語ったが、彼の左腕はウルフドッグスを苦しめた。チーム最高のスパイク決定率、サーブレシーブ成功率で、攻守に厚みをもたらしている。

 3試合目は、2セット目から登場した左利きミドルブロッカー、佐藤謙次が日替わりのヒーローになった。佐藤は左利き特有のクイックで相手を幻惑。2本のブロックにも成功した。何より2本のエースを含めて、サーブは効果率も18.1%と高かった。左利き特有の回転、軌道、タイミングで、ウルフドッグスのレシーバーを苦しめた。

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