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石川祐希や髙橋藍が途中合流でも銀メダル 男子バレー日本代表が磨き続けた「最後の1点を取りきる力」 (2ページ目)

  • 坂口功将●文 text by Sakaguchi Kosuke

 もちろん、ネーションズリーグ予選ラウンド終了時点でのFIVBランキングが高いほど、パリ五輪本番のプール分け(予選ラウンド)で同ランキング上位勢との対戦を避けられるため、ブラン監督は「(ランキングの)上位5位以内を維持することが大切」と口にしていた。

 ただ、ネーションズリーグの予選ラウンドを突破するとなれば、フィリピンで実施された第3週からポーランドでのファイナルラウンドに臨むにあたって移動を要し、なおかつ期間も短いため、疲労の蓄積が懸念材料となる。ゆえに指揮官は、あえてネーションズリーグでの上位成績を目標とせず、それでも「各試合の質にこだわることが重要。パフォーマンスが素晴らしければ、おのずと掲げる目標は達成できる」と語っていた。

 一方で、選手たちの口からはギラギラとした野心がうかがえた。ネーションズリーグの目標について、みなが口を揃えたのは「昨年以上の成績を残す」ということ。この大会がパリ五輪予選に向けた最終調整の機会、また個々に目を向ければ、五輪メンバー入りへの最終選考という側面があったとしても、だ。日の丸をつけて国際舞台で戦う以上、「チームとしては世界の頂点を目指す」。ただそれだけなのである。

【磨いてきた「最後の1点を取りきる力」】

 昨年のワールドカップでパリ五輪の出場権を獲得したことは、コンディション調整を図りながらネーションズリーグを戦うことができる"アドバンテージ"となった。

 実際に予選ラウンド第1週では、石川祐希、高橋藍を登録外としてクラブシーズンからの疲労回復と調整に充てている。対角のエースふたりを欠いても、チームは3勝1敗と勝ち越しに成功。ふたりが合流した第2週も、黒星を喫したのは控えメンバーで挑んだポーランド戦だけ。そして第3週はカナダにこそ競り負けたものの、フランスやアメリカという上位勢から勝利を収め、結果的にFIVBランキングは2位まで上昇した。

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