ネーションズリーグで古賀紗理那が向き合う課題と「その先」にあるパリ五輪への道 (3ページ目)
古賀はどこまでも現実的だった。「気持ちで」という思考停止にならず、真正面から課題を見据えていた。チームメイトに厳しく接することは苦しさも感じる作業だが、それを厭うことはなかった。
チームが強くなって成長を遂げるには、プレー精度を上げ、選択肢を増やす必要がある。たとえばもっとクイックを使うことができたら、もう少し有利にスパイクを打てたかもしれない。そのためにはセッターからの的確なトスが必要で、その前にレシーブでしっかり上げないと厳しくなる。結局のところ、すべてのプレーがつながっている。
そして、すべてを託される古賀が最後に腕を振れるか。
「次のセルビア戦は、勝つために選手たちと話し合って。今日のことを反省し、コンディションを整え、準備していきます」
そう語った古賀は次へ視線を向けていた。
6月15日、セルビア戦は消化試合ではない。パリ五輪の前哨戦と位置づけられる。大舞台で彼女たちは輝けるのか。古賀はその問いに答えるだろう。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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