女子バレー日本が2つの「攻撃の弱点」を克服しW杯4連勝 パリ五輪に向け「ヤマ場」のトルコ、ブラジル戦へ (2ページ目)
【克服しつつある2つの弱点】
これまでの日本の攻撃の弱点は、主に2つあった。ひとつは、攻撃枚数が少なくなってしまうこと。特にセッター前衛時に浮き彫りになり、9メートルの幅が使えなくなることにもつながっていた。もうひとつは1ローテ当たりの攻撃で、持っている手札が少なかったこと。わかりやすく言えば、「ワンパターンに陥りがちだった」ということだ。
今の日本にはそこからの脱却が見て取れる。セッターの対角に入る林は、後衛でも常にバックアタックで攻撃に参加するようになった。同じライト側を使った攻撃の中でも、多数のパターンが用意されていた。セッターの真後ろにミドルブロッカーが攻撃に入れば、後衛にいる林はバックライトの位置からバックアタックを放ったり、井上や古賀が後衛にいる際に入るバックアタックの位置も複数あったり、というように。
現代バレーにおいて、相手守備を突破するためには、相手ブロックの3人を上回る4人の攻撃枚数を確保することと、その4人全員が9メートル幅を活用して違う位置から攻撃を仕掛けることが必要とされる。今の日本には、その形ができつつある。
さらに、チームとしての総合力の高さも表れていた。第2戦のアルゼンチン戦では、エース古賀が苦しい状況で打たざるを得ないケースが多く、スパイク効果率は極めて低かった。それでも、井上がスパイクで17得点し、失点はゼロ。60%超のスパイク効果率をマークして攻撃を引っ張った。
第3戦のプエルトリコ戦は、関に代わって出場したセッター松井珠己(マリンガ)が流れを変えた。高さがあり、アンテナまでしっかりと伸びるトスを両サイドへ供給し、攻撃を蘇らせた。先発での出場がない石川真佑(フィレンツェ)や和田由紀子(JT)も強烈なサーブやスパイクで、出番があれば着実にチームに貢献している。ブロックとレシーブの関係もよく、ベストディガー部門で4位につける福留を筆頭に、相手の攻撃を簡単に決めさせない守備力も光る。
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