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日本男子バレーが目指す「頂点」は夢ではない 石川祐希を中心に見せた「誰が出ても強い」総合力 (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

 サーブで攻め、ブロックを含めたディフェンスで粘ってラリーを制す。日本男子は、「弱くなった」と言われていた頃から大幅な進化を遂げた。

 リオ五輪出場を逃した際、当時の主将だった清水邦広は「弱くなったと言われるのは僕らの責任」と歯を食いしばっていた。その清水は今回、解説席から後輩たちのメダル獲得を見守った。大会後には、共に代表でプレーしていた石川に「こんなにすごくて、どこまで行っちゃうの?」と興奮気味に質問。それに対して石川は「頂上です」とはっきり答えた。

 イタリア戦の会場には「ブラジルの至宝」と呼ばれたジバが試合を見守っていた。今大会、ブラジルは予選ラウンド第2週で30年ぶりに日本に敗れ、ファイナルラウンドでは準々決勝で姿を消した。ブラジルのレジェンドは、大会のベストアウトサイドヒッターに選ばれた石川、日本代表を次のように称賛した。

「バレーボールはひとりでプレーするものではないから、僕がそうであったように石川も素晴らしいセッターやリベロ、仲間たちに助けられて今の力を発揮していると思う。もちろん彼は群を抜いた素晴らしいプレーヤーで、日本を新しい局面に向かわせている。僕は日本のバレーボールを愛してるし、彼ももっと飛躍できると思う。

 日本の復活は、僕にとっても嬉しいことだよ。日本男子はかつて、伝統ある強豪国だった。それが一時期は沈んでいたけど、新しい力と戦術でまた浮上してきたね。ブラジルもついに土をつけられた。これからは強豪国グループの一員として、共に戦っていきたいね」

 今後、日本はイランで8月に開催されるアジア選手権を戦ったあと、9月30日から日本で開催される、オリンピックの切符をかけたワールドカップに臨む。ワールドカップは8カ国ずつ3組に分かれて1回総当たり戦を行なうが、各組の上位2カ国がその時点で五輪への出場が決まる。今の日本であれば、地元で出場権を獲得する瞬間を見せてくれるかもしれない。

著者プロフィール

  • 中西美雁

    中西美雁 (なかにし・みかり)

    名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当

【写真】「ベスト6」の石川祐希、髙橋藍ら、46年ぶりのメダルに笑顔の日本男子バレー代表選手たち

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