日本男子バレーが目指す「頂点」は夢ではない 石川祐希を中心に見せた「誰が出ても強い」総合力 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

 第2セットはシーソーゲームとなったが、途中でコートに戻った髙橋が踏ん張りセットを連取。あと1セットでメダル獲得......しかしそこから、徐々にイタリアが対応力の高さを発揮。髙橋の得意コースが塞がれ、セッターのシモーネ・ジャネッリのサービスエースやツーアタックにも翻弄されてこのセットを落とした。続く第4セットも最初はリードを奪ったがすぐに逆転され、そのまま点差をつけられてそのセットも取られた。

 勝負の第5セット。日本に流れを呼び込んだのは、ポーランド戦後に「明日は必ず勝つ」と宣言した宮浦だった。セットの幕開けでサービスエースを決めて静かにガッツポーズ。その流れに乗り、山内のブロックなどもあって得点を重ねていく。イタリアにもミスが出てマッチポイントを握ると、最後は石川がレフトからブロックアウト。1977年のワールドカップバレーボールで獲得した銀メダル以来となるメダルを手にした。

 試合後、主将の石川は「宮浦選手の5セット目最初のサービスエースで流れはこちらにきた」と宮浦を称えたあと、こう続けた。

「銅メダルは素直に嬉しい。ここまでこられたことに、チームメイトの選手たち、スタッフや応援してくださる方たちに本当に感謝しています。ただ、目標は銅メダルではない。頂上です。銅メダルに浮かれすぎることなく、先を目指していきたいです」

 また、第5セットで2本のキルブロックを見せ、サービスエースも決めたミドルブロッカーの山内は「まだ実感がないですけど、嬉しいですね」と笑顔を見せた。

 山内は、南部強化委員長が代表監督時代に結成した「NEXT4」のひとり(他の3人は石川、柳田将洋、髙橋健太郎)。決して器用な選手ではなかったため、2021年の東京五輪のメンバーに選出された時も一部で異論の声が上がった。しかし、パナソニックでの地道なプレーや、フィリップ・ブラン代表監督のコーチ時代からのアドバイスなどもあって、大舞台でもしっかり活躍する大型ミドルブロッカーとして成長した。

 石川はVNLの名古屋ラウンド後、今の日本について「誰が出ても強い」と話していたが、それを体現したのは山内だけではない。髙橋が不調の時は大塚が支え、西田が故障で離脱しても宮浦が引っ張る。そして、そのアタッカー陣を操る関田の運動量の多さと、勇気溢れるトス回し。そのトスへとつなげる山本らのレシーブ力も光った。山本は大会後、解説の福澤達哉さんに「どうしてそんなに拾えるの?」と聞かれ、「ボールをメダルと思って拾いました!」と答えた。

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