石川祐希を軸に「誰が出ても強い」無敗の日本男子バレー 30年ぶりのブラジル撃破にも期待が膨らむ

  • 柄谷雅紀●取材・文 text by karaya masaki
  • Photo by FIVB

 バレーボール男子日本代表は、ネーションズリーグ名古屋大会を4戦全勝で終えた。アジアの宿敵であるイラン、そしてセルビア、ブルガリア、フランスという地力のある欧州勢に勝っての4連勝。ネーションズリーグ第1週を終え、全勝は日本だけ。1位という順位がフロックではなく、実力だと見せつけんばかりの充実した試合内容だった。

「出た選手が全員、出たときにしっかり活躍している。これが今の日本の強さ。日本が強くなったところ」

 名古屋大会を終え、主将の石川祐希(ミラノ)はこう言った。

ネーションズリーグで4戦全勝の日本男子バレーネーションズリーグで4戦全勝の日本男子バレーこの記事に関連する写真を見る それが最も現れたのは、名古屋大会で最大のヤマ場と目された6月10日の3戦目、ブルガリアとの試合だった。

 第1セット。序盤から日本が主導権を握ったが、20-16から20-19と1点差まで詰め寄られた。西田有志(日本協会)があまり得意ではない前衛のレフトから打たねばならないローテーションだったことに加え、ブルガリアのアスパルー・アスパルホフの強烈なサーブが日本を襲って連続失点。流れは相手に傾きかけた。

 ここで仕事をしたのは大塚達宣(パナソニック)だった。「大塚はサーブレシーブができるから4人でレセプションをできるし、レフト側からのスパイクにも秀でている」とフィリップ・ブラン監督が迷わず投入した。

 相手の強力なサーブに対し、通常の3人から大塚を加えた4人でのレセプション体制に変更。なんとかレシーブしてラリーとなり、レフトに上がった2段トスを大塚が打ち抜いてこのローテを乗り切った。イラン戦後に高梨健太(名古屋)の体調不良で急遽合流した大塚の出番は、名古屋大会を通してこの場面だけ。そこで確実に働く仕事人ぶりを見せつけた。

 第2セットでは、21-20で投入された19歳の甲斐優斗(専修大)が臆することなくジャンプサーブを放って相手を崩す。ブレイクポイントに導き、抜け出すきっかけを作った。甲斐はさらに2本、好サーブを続けてこのセットの流れを決定づけた。

1 / 3

著者プロフィール

  • 柄谷雅紀

    柄谷雅紀 (からや・まさき)

    スポーツ記者、ライター。1985年生まれ、大阪府出身。筑波大男子バレーボール部で全日本大学選手権など多くの大会で優勝した。卒業後の2008年から大手新聞社で事件や事故、裁判の取材を経験。転職した2013年からスポーツの取材に携わる。2018年平昌五輪、2021年東京五輪、2022年北京五輪を始め、多くの競技を現地で取材している。@masaki_karaya

【写真】日本代表も多数 今シーズンに活躍が注目された男子Vリーガー10人

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る