日本男子バレーは「石川祐希頼み」から脱却。世界選手権で西田有志や「たつらん」、ミドルブロッカー陣も躍動 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by FIVB

 この試合は西田のスパイクが面白いように決まり(チーム最多の19得点)、さらにミドルブロッカー・小野寺太志のクイック、ブロックも光った。セットカウント2-1とリードしたあとの第4セット中盤は、ミスが出はじめた石川に代わって大塚がコートへ。その大塚は入ってすぐのサーブで相手を崩して得点につなげ、終盤でもサーブからラリーに持ち込み、自らバックアタックでマッチポイントを握る。最後はキューバのミスで勝利し、2位通過を決めた。

 それまでの2戦で、石川の調子を上げるためにプレー時間を増やし、満を持してのスタメン起用。その石川にミスが続いたと見るや、すぐさま大塚を投入。そんなベンチワークでの勝利でもあった。選手たちが言う「誰が出ても勝てるチーム」を体現できるようになってきている。

 石川はキューバ戦の第4セットについて「集中力が切れていた」と反省しつつも、「代わりに入った大塚選手が頑張ってくれて助かりました。今はまだ試合後に(左足首の)痛みが出ますが、悪化することはなく、よくなってきています。長い時間プレーできたことは、集中力を維持するという面でもよかったですし、いい形で予選を突破することができた。決勝トーナメントは一発勝負になりますが、勝ち上がっていきたいです」

 予選ラウンドでは、ブラジル戦こそ苦戦したものの、小野寺、山内晶大の両ミドルブロッカー陣も健闘した。特に小野寺は予選が終わった時点で、ベストブロッカーランキングで全体のトップ。この部門で日本人選手の名前が挙がることはかなり珍しく、小野寺自身もキューバ戦後に「自分でもいいプレーができたと思っています」と胸を張った。攻撃についても、「サーブレシーブがBパス以下になっても速攻を使う」という目標を、勝利した2戦では十分にできていた。

 決勝トーナメント1回戦で戦うフランスは、東京五輪のあと、今年度のネーションズリーグでも優勝している現在の"王者"だ。しかも、フランスのキャプテンで司令塔のベンジャミン・トニウッティに油断はない。「世界ランキング7位の日本は、真剣に対応しなければならない」と、次のように分析した。

「ネーションズリーグのファイナルでフランスは日本を3-0と圧倒したが、この時は主力の石川祐希がいなかったため、参考にはならない。日本はネーションズリーグの予選ラウンドでわずか3敗しかしておらず、今回の世界選手権でもカタール、危険な存在のキューバを簡単に破っている。サーブレシーブがよく、ミドルブロッカーと、石川や西田といった点取り屋をうまくセッターの関田が操っている」

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