東京五輪を戦う日本男子バレー注目のアタッカー陣。選考理由、予想される戦術を考える (3ページ目)
さらに新しい風をチームに吹かせたのが、日体大2年の髙橋藍と、早稲田大3年の大塚達宣だ。
中垣内監督が昨夏の紅白戦でも高く評価していた髙橋は、アンダーカテゴリーに選出されていなかった選手だが、シニアの代表で存在感を示し続けた。代表に選出された当初は髙橋の実力を疑問視する声もあったが、今年の中国とのテストマッチ、VNLの開幕2戦の攻守にわたる活躍はそれを封じるに十分だった。
ただ、「連戦でパフォーマンスが少し落ちた」と本人も口にしていたように、アルゼンチン戦やカナダ戦では得意とするサーブレシーブが乱れ、前衛での攻撃も思うように決められない場面もあった。疲労に加え、各国にデータを取られたということも影響しているだろう。
そこを乗り越えるためには多くの試合経験が必要になるが、今回は五輪が間近に迫っているだけにどこまで対応できるか。目標とする選手に石川の名を挙げ、「目標とするだけでなく、越えていきたい存在」と口にする19歳のさらなる成長に期待したい。
オポジット、アウトサイドヒッターの両方でプレーする大塚この記事に関連する写真を見る もうひとりの大学生である大塚は、身長194cmと、今回選ばれたサイドアタッカー陣の中でもっとも長身の選手になった。大学ではアウトサイドヒッター(サーブレシーブをするレフト)としてプレーしているが、VNLでは西田の状態が戻るまで、オポジットとして出場することが多かった。
飛び抜けて攻撃力が高いわけではないものの、ミスが少なく、髙橋と同様に守備面でも大きくチームに貢献。大塚をオポジットに入れ、4人で海外選手のビックサーバーに対応するシーンもよく見られた。また、S1ローテ(セッターがサーブを打つ時のローテーション。オポジットは前衛の左)で力を存分に力を発揮できるのは心強い。自身の右側からトスが上がってくるこのローテは、左利きのオポジットにとっての"鬼門"だが、右利きで本職がレフトの大塚はそれを苦にしない。西田、清水でS1ローテが回らない時などに、ピンポイントで起用することもアリだろう。
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