新鍋理沙が明かすメダル獲得の裏側。ロンドン五輪の激闘を振り返る (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 この「サーブを体の横で取る」という方法は、2013年2月に日本代表史上初の外国人代表監督として、男子代表の指揮を執ることになったゲーリー・サトウ氏が取り入れようとした方法だ。当時の選手たちは完全に習得するには至らず、日本ではそこまで広まらなかったが、ブラジルなどの強豪国ではスタンダードになっている。それを新鍋は、これまでの練習の中で自然にマスターしていたのだ。

 日本は予選リーグA組を3勝2敗の3位で突破(各リーグ上位4チーム)。予選リーグB組の2位、北京五輪銅メダリストの中国と準々決勝(8月7日)を戦うことになった。新鍋が悔し涙を流したワールドカップでも負けた相手で、2008年12月に眞鍋政義監督が指揮を執るようになって以降の対戦成績は4勝8敗と大きく負け越していた。

 しかし、五輪で頂点を目指す上で避けては通れない、アジア女王と戦う気持ちの準備はできていた。

「五輪が始まる前から、眞鍋監督は『この日は絶対中国と試合をする。(準々決勝で中国と当たる)夢を見た』とずっと言っていましたね(笑)。前年のワールドカップのイメージもありますし、もちろん強いとは思っていました。実際にすごい接戦になりましたが、負ける気はしなかったです」

 試合は日本が先制するも、以降は交互にセットを取り合ってフルセットに突入。その第5セットはデュースとなったが、日本がサーブで相手を崩し、粘る中国を押し切った。すべてのセットが2点差という大激戦のなか、新鍋は何を考えていたのか。

「試合の映像を見ながらだったら、『あ、こういう場面あったな』と思い出せると思うんですけど......本当に『無』というか、すごく集中していました」

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