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ビーチバレー坂口佳穂、顔面タンコブ
負傷のまま、気迫のツアー初優勝 (3ページ目)

  • 小崎仁久●文 text by Kosaki Yoshihisa
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 坂口&鈴木ペア、そして浦田&田中ペア、双方に大きな期待とプレッシャーがかかった決勝は、意外な展開で進んでいく。

 ふたりでプレーするビーチバレーボールでは、当然レシーブした選手がスパイクを打つことになる。そのため、坂口&鈴木ペアと対戦するチームは、おおよそ鈴木よりも身長が低くて、経験の少ない坂口をサーブで狙う。

 しかし第1セット、相手の浦田&田中ペアは「(鈴木)悠佳子の状態がよくない」(浦田)と見て、サーブを鈴木に集中させた。これが功を奏した。

「(相手の狙いに対する)準備はできていたが、(スパイクを)どこへ打てばいいのかわからなくなった」という鈴木がミスを連発。前日好調だったスパイクは、田中のブロックに肝心なところで止められて、サイドアウトが切れなくなった。

 また、立場が逆転した坂口も、「いつも悠佳子さんに助けてもらっているのに、なかなか助けられなかった」と、鈴木のミスをうまくカバーできなかった。結局、坂口&鈴木ペアは中盤から一気に置いていかれて、15-21の大差で第1セットを失った。

 それでも第2セットに入ると、鈴木も立て直して本来の力を発揮。坂口のクロスへの強打、ストレートへのショット(軟打)も決まり出して、次第にチームとしてのリズムを取り戻す。そのまま、優勢にゲームを進めて20-17とセットポイントを握った。

 ところが、簡単にセットは奪えなかった。田中のミラクルレシーブや、浦田のサービスエースに屈して連続4ポイントを失い、20-21と反対に王手をかけられてしまう。その直後こそ、鈴木が強打を決めてデュースに持ち込んだが、相手の勢いのほうが完全に上回っていた。

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