早くも崖っぷち。エース石川祐希は「自分らしさ」を取り戻せるか (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 伊藤真吾/アフロスポーツ●写真 photo by Ito Shingo

 初戦のベネズエラにはなんとか勝利をものにした。でも、初めての五輪最終予選だからか、若手エースの石川にもめずらしく力みが感じられた。南部正司監督には、「自分らしさ」が少し消えていると映った。
だから、この日の試合前の練習のとき、指揮官は石川に「自分らしさを出しなさい」と声をかけたそうだ。南部監督が説明する。

「彼はまだ、チームで最年少じゃないですか。あんまり"すべてパーフェクトにやらないといけない"なんて思ったらダメなんですよ。相手が強くなればなるほど、楽しんでバレーをやればいい。それをもう1回、思い出してほしいと思ったんです」

 そうは言っても、知らず知らずのうちに五輪切符をかけた戦いの重みをどこかに感じていたのかもしれない。相手ディフェンスを崩しにかかる強烈なジャンプサーブでは、どうしても厳しいところを狙いにいく。イチかバチか。第1セット、石川は3本のサーブをすべて失敗した。

 ついでにいえば、もうひとりの若手スパイカーの柳田将洋もジャンプサーブを3本、ミスした。南部監督がボソッと漏らした。「これだけ(2人のサーブが)入らなかったのは、今までないですね」と。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る