2013.08.30

【女子バレー】新セッター宮下遥。不安の涙から強豪と戦う喜びへ

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

「いい? よーく見ておくといいわよ。あの子はモノになる。スジがいいから」

 宮下遥が、中学生ながら全日本のセッターに抜擢されたときの会見でのことだ。興味本位で、その場にいたかつての天才少女・中田久美に「彼女をどう思いますか」と尋ねると、中田はそう即答した。2010年のことだった。そして現在開催中のワールドグランプリで眞鍋ジャパンの司令塔を務めているのが、今春高校を卒業したその宮下である。

 176㎝という長身。サーブもディグ(スパイクレシーブ)もいい。ブロックもいい。

イタリア戦ではMIP賞を受賞した宮下遥 ワールドグランプリの前に、モントルー大会でレギュラーとしてトスを上げた藤田夏未(166㎝)、ロンドン五輪メダリストの元アタッカーで、前述の中田久美が口説いて昨季からセッターに転向した狩野舞子(186㎝)……。10年以上全日本の司令塔として君臨した竹下佳江の引退後、その座を誰が射止めるのかは常に注目されてきた。その大本命が宮下だ。

 159㎝でどうしてもブロックの穴だった竹下に対して、長身セッターがいれば組織的なブロックを仕掛けることも可能になる。また、高い位置でのセットアップは、相手ブロッカーの視線が上がることによって、アタッカーの助走動作が視野に入りにくくなり、結果としてブロックの対応が遅れることにもなる。より長身で、五輪経験がある狩野と比べても、「セッターとしての経験」の差で一日の長がある。

 ワールドグランプリ2013ファイナル札幌大会二日目、北京五輪、ロンドン五輪と連覇を果たしているブラジルとの対戦を終えた宮下は笑顔を見せた。