【バレー】五輪出場権獲得にも、突きつけられた厳しい現実 (4ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

 眞鍋監督はまた改善すべき点として、「サーブレシーブ」を挙げた。各国から徹底して狙われた木村の負担を減らすべく、新鍋を起用したことは評価できるが、肝心の木村を代えることは一度も考えなかったという。

「(今大会の不調は)本人が一番悔しいと思います。あのポジションは現状木村しかできません。メダルを獲るためには木村が復活する以外ないと思っています」

 セルビア戦の木村のスパイク決定率はわずか16.33%。サーブレシーブ成功率も15.79%という低い数字にとどまった。その木村を代えることができないシステムに一考の余地はないのか。また、セッターの竹下佳江はこの試合後の記者会見を体調不良で欠席している。このような状態のセッターを使い続けたことも苦戦につながったとは言えないか。

 さらに、荒木が土壇場で復調したから良かったようなものの、日本のミドルブロッカー陣の攻撃力のなさも問題のひとつだ。今大会を故障で欠いた大友愛や井上香織の復帰が望まれる。

「この大会でオリンピックの切符を簡単に手にしていたら、本戦で非常に厳しいことになっただろう」とする眞鍋監督は、「現状、この大会の試合を見てみますと、我々は(オリンピックに出場する)12チームの中でも下の方でしょう。でも今回苦しみながらチケットを獲りましたから、それを糧にして、あと2ヵ月間、やる以上は一番輝いているメダルに挑戦したい」と前向きな姿勢を見せた。

 荒木も「本当に苦しい状況の中で、何とか、どんな形でもいいから(五輪の)切符を取ろうという思いで戦って、とにかく取れて良かった。今までチームに迷惑をかけていたので、この試合にかける思いは強いものがありました。本当にこの最終予選が苦しかった分、もっともっとチームとして強くなれると思う」と、本戦への意気込みを語っている。

 ギリギリだった今大会で不安材料を出し切ったと考え、残り2ヵ月を有効に過ごしてほしい。

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