アマチュア時代の錦織圭には「正直とても手を焼いた」 名コーチの指示に「それは現実的じゃない」と反論 (2ページ目)
この試合を私は、注目の一戦としてプロモートしたのです。『フィリップ・ベスターvsケイ・ニシコリ! スタジアムコートで水曜日夜7時に試合開始!』と書いたポスターを作り、それをアカデミー内の至るところに貼りました。試合会場は、アカデミー内でも一番大きなスタジアムコートです。
ポスターの効果もあり、アカデミー中の人たちが試合を見にきていました。コーチ陣やジュニアだけでなく、トッププロたちも何人かいたと思います。
私はふたりの選手に、プレッシャーのなかで試合をさせたかった。そしてその衆人環視のなか、ケイはベスターに完勝したのです! 単に勝つだけではない。サーブを完璧にとらえて、次々にリターンウイナーを決めました。ベスターが前に出てくれば、パッシングショットを叩き込む。当時のトップジュニアのベスターを、完全に翻弄していたのです。
この試合後、周囲の人たちのケイを見る目は一変しました。ケイも、自分の力を信じることができた。この直後に、ケイはトップグループに入りました。ここで彼の進む道は、大きく変わったと思います」
その日を境に、錦織が練習する相手は世界中から集ったトップジュニアになり、時にはトッププロとも打ち合うようになった。ハラミロ氏が直接、錦織の指導にあたる機会も増えた。
錦織は概してコーチたちから、「とても指導しやすい選手だ」との評価を得ている。マイケル・チャン氏も、「ケイをコーチするのは簡単だった。なぜならケイは、『無理だ』や『やりたくない』と言うことがないからだ」と述懐していた。
ただハラミロ氏は、異なる見解を示す。「私が見ていた時のケイは、まだプロになる前。当時の彼には、正直、とても手を焼いた」というのだ。
「たとえば、ケイに『バックハンドストロークをクロスコートに30本打ちなさい』と言うとします。ところがケイは、3球打ったと思ったら、ストレートに打ち込む。『そうじゃない! これはクロスコートに打つドリルなのだ』と私が言うと、ケイは『でも、それは現実的じゃない。実戦では、浅いボールが来たらストレートに打つべきだ』と言い返すのです。
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