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錦織圭は4年ぶりの全豪オープンで、世界11位に「僕の打つボールが遅く感じた」とまで言わしめた (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【英国記者が率直な疑問を投げかけた】

 試合後に「身体の疲労度」を問われた錦織は、少し寂しそうな笑みを浮かべ、「意外と負けたことより、そっちのほうがショックがあって......」と朴訥(ぼくとつ)に思いをつづる。

「なんか、まだ回復しないんだっていう......2日間あっても。1セット目は大丈夫だったんですけど、3セット目ぐらいから(体勢が)低くなれなかったり、足が動かなかったり。けっこう2日間がんばってリカバリーしたんすでけど、これが歳なのか、やり方の問題なのか。うーん、なんかそこらへんが......負けたのはもちろんあれですけど、この先、大丈夫かなって」

 そう言い、いたずらっぽく浮かべる笑みの真意は、どこにあったろうか。

 ただ、「回復力はこの先、ツアーを転戦すればついていくものか?」と問われると、彼は「その可能性はあると思います」と即答した。

「もう少しツアーで試合をこなして体が慣れてくれば。トレーニングだけでは得られない慣れというか、そういう部分も多少あるのかな。どうなんですかね......これが歳なのか、試合数をやってないからか。そこらへんは今後、またプレーして感じながらですね」

 不安を口にしながらも、その目はすでに先を見る。錦織がグランドスラム2回戦で世界11位と戦い感じた「ショック」とは、テニスの感覚や身体そのものに不安を感じたステージを脱し、次のフェーズに達したからこそ、覚えたものでもあるだろう。

 思えば今回、錦織が4年ぶりに全豪オープンに戻ってきた時、英国の記者が「いったい、何が圭のモチベーションなのか」と不思議そうにしていた。

 その記者が初戦後の会見で、率直に自身の疑問を問う。

 錦織は、こう答えた。

「I just still love to play tennis」──僕はまだ、純粋にテニスが好きなんだ──。

「今日みたいに、大きなスタジアムでプレーしたい......それが目標だった。まだトップ選手と戦えるチャンスが自分にはあると、去年末に感じることができた。試合をするのは、楽しいんだ」

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