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錦織圭が初めて語ったイップスとの戦い「大事なポイントが取れない。なぜかすぐミスする」 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【僕は100パーセント海外推奨派】

── 国枝さんの試合中のセルフトークや、試合前に鏡を見て目に恐れが消えるまで「俺は最強だ!」と鼓舞するというような点でしょうか?

「そうですね。でも今回の話を聞いたり、ほかの人からも国枝さんのことを聞いていると、やっぱ尋常じゃない努力の仕方をしているので、それは本当にすごいなと思いますね。ちょっとまた、そこは自分とは違うところで......その努力が、あそこまで行った人を生んだんだなと思いました」

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 今回のキャンプに参加したジュニアたちは、当然ながらプロの将来像を描いている者が多い。「海外を拠点としたほうがいいですか?」というジュニア選手からの実直な問いには、錦織は「僕は100パーセント、海外推奨派」としながらも、こうも続ける。

「でも、盛田正明テニスファンドでアメリカに来た人も半分以上は居なくなっている。その現実を見ると、やっぱり自分自身の心の強さが大事だし、どれだけがんばれるか。海外に来たからOKとかではない」

 錦織が考える強さへの道や、環境とはどのようなものだろうか?

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── 今回の合宿参加者たちと練習や話をして、どのような印象を持たれましたか?

「今日のふたり(逸﨑と松村)はすごく一生懸命に練習してくれたので、シンプルに僕にとって助かりました。タイプの違うふたりだったので、そこも面白さはありましたし。

 ほかの子はまだあんまり見ることができていないのですが、一生懸命さは伝わってきましたよ。このチャンスを活用して海外にも挑戦したいという。海外に来て、外国の選手と戦う経験の大事さは僕も身に染みて感じているので、そこは存分に味わって帰ってほしいなと思います」

── 今回のように似た世代の子たちが合宿し、海外の同世代とも練習や対戦することは、よく言われる「切磋琢磨」のような意味合いでも大きいでしょうか?

「それはめっちゃ大事だと思いますね。僕の場合は、最初はお姉ちゃんがライバルで、ずっと近くにいてくれたので、それがまずひとつ目のやる気になった。その後、日本から3人で一緒に盛田ファンドの支援でアメリカに来て、ライバル心というか、すごく気持ちを駆り立ててくれました。

 今のトップを見ても、アルカラスとシナーがライバルとしてがんばっている。ちょっと世代は飛びますけど、ロジャー・フェデラー(スイス)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)やラファエル・ナダル(スペイン)がいたことによって、下の僕らも強くなれたというところがある。

 そういうライバルだったり、ちょっと自分より上の選手を目指すっていうのは、僕の場合はすごくいいモチベーションになっていました」

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