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今の大坂なおみを元ウインブルドン女王はどう見たのか? 「筋力が足りず、体も重い。課題はリターン」 (4ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

 そこから先は、子どもとの時間のバランスも重要になってくるでしょう。娘を連れていくのか、いかないのか──。そのあたりの判断は、週によって変わっていくと思います。いずれにしても、彼女の復帰はテニス界にとっても非常に明るいニュースです」

── お話を聞いて、あなたの分析力や言葉での表現力の高さに驚いています。

「ありがとう(笑)。私が現役の頃を覚えているかもしれませんが、私はパワーやスピードに恵まれている選手ではなかった。だから勝つためには、賢くある必要があったのです。目標に到達するには、自分の武器を最大限に活用しなくてはいけなかった。その目標とは、もちろんグランドスラムの優勝でした。

 そのような現役時代からの訓練に加えて、メディアの経験を積むことで、分析力は上達したと思います。それに今は、非常に詳細で多くのデータや動画を見ることができますよね。視覚や感覚だけではわからない情報も手に入るので、男女問わず、戦略や勝因・敗因について語ることができるようになりました。

 テニスの解説は『Sky UK』に加えて『Amazon Primeフランス』、ウインブルドンの時は『BBC』でやっています。あとは『バルトリ・タイム』というラジオ番組を持っていて、そこではサッカーやラグビー、サイクリングに柔道なども取り上げています。そのような経験も、素早く思考する能力や、話術を磨く助けになったと思います」

 選手としての経験や、解説者や取材者としての視座も交えながら、多角的に大坂を分析するバルトリさん。彼女は大坂の「近い未来」について、次のように明言した。

「なおみが妊娠のためにツアーを去った時(2022年9月)から今までの間、女子テニスのレベルは上がりましたが、そこまで劇的な変化ではありません。ですから、彼女がかつてのベストの状態に戻れたら、必ず勝てるようになると確信しています」......と。

著者プロフィール

  • 内田 暁

    内田 暁 (うちだ・あかつき)

    編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。

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