伊達公子は大坂なおみのメンタルヘルス問題をどう思う。「選手にのしかかるダメージが大きいのは確か」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

 それらの要素がパッケージになり、絵としてゴージャスですよね。客席もグランドスラムって著名人がたくさん集まり、華やかじゃないですか。男子は今、ベテランに対抗するすばらしい若手が出てきて面白い時期ですが、女性特有の華やかさもテニスの魅力だと思うんです」

---- 伊達さん自身、大観衆のセンターコートに立つ経験を幾度もされてきました。その時に緊張や怖さは感じられましたか?

「怖さはないですね。もちろん緊張はしますよ。コートに足を踏み入れるまでは最高潮に緊張して、でも5分間のウォームアップの間に自分を取り戻す。そして、主審の「プレー」の声がかかると、スイッチが入る感じです。最高潮に達した緊張を、5分間で、いかによい心の状態にもっていくかの勝負でもあります。

 センターコートを経験している選手は、コートに足を踏み入れるあの瞬間が好きだと思います。緊張感がピークに達し、不安というか、どんな試合になるんだろうと考える時間でもあり......。あの瞬間がみんな、好きなんだと思います」

---- 先ほど男子の若手台頭の話がありました。そのなかで32歳を迎えた錦織圭選手の今後を、どう予想されますか?

「もちろん、簡単ではないと思います。彼のタレントはずば抜けたものがあるとはいえ、年齢が上がってきたところで、男子選手の大型化の傾向が増してきました。ランキング的に、ここからもう一度トップ20、トップ10というのは、フィジカル的にも相当に厳しいと思います。ドローにしても、シードがつかない位置だと早くピーキングしなくてはいけないので、一層タフさが増しますから。

 ただ勝負の世界は、本当に何が起きるかわからない。何かでカバーすることで上にも勝てるので、可能性が残っているうちは彼もトライするだろうし、それはそれでやり甲斐があると思います。

 残された時間のなかで、自分がテニス界に何を残したいのか? 自分のキャリアを通じ、何を示せるのかを考えることも、モチベーションになっているのかなと思います。ただただ自分のためにテニスと向き合い、本当のトップレベルで戦っていた時とは、気持ちの持ち様や戦い方も変わっていくでしょう。

 そのなかで、最大限にできることを、彼はやり遂げるはず。ですからまだまだ、楽しみは残されていると思います」

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