松永浩美は高校1年の清原和博の内野フライを見て「間違いなくプロにくる」 西武と巨人時代のバッティングの違いも語った
松永浩美が語る清原和博の素顔 中編
(前編:デッドボールで怒った清原和博に「お前が悪いんだから一塁に行け!」と挑発的な言葉を放った理由>>)
阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)の主力として活躍した松永浩美氏が語る、清原和博氏とのエピソード。中編では、高校時代の清原氏に衝撃を受けた打球、バッティングの特徴、投手との対戦で「得をしていたこと」について聞いた。
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【衝撃を受けた内野フライ】
――清原さんはプロ1年目から好成績を残しましたが、ルーキー時代のバッティングをどう見ていましたか?西武でチームメイトだった石毛宏典さんは、「1年目が一番よかった」と話していました。
松永浩美(以下:松永) 若い時は自由に体が動くもので、年齢を重ねていけばだんだん変わっていきます。確かに1年目からキヨはすごかったですけど、トータルで見ても、「いい選手だな」と思います。私は、長年にわたって安定した力を発揮できるかどうかが一番大事なことだと思っているので。
――敵チームから見て、清原さんはどんなバッターでしたか?
松永 守っていて怖いんです。打球が怖いとかじゃないですよ。ランナーがいる時に「ここで一発打たれるんじゃないか」とか、「右中間を抜かれるんじゃないか」と思わせることができるバッターでした。チャンスでよく打っていましたし、その積み重ねによる「キヨはチャンスに強い」というイメージが、守っている野手の頭のなかにできあがっていたと思います。
――どんな時に「すごさ」を感じましたか?
松永 最初に感じたのは、プロ入り後ではなく高校時代です。キヨが高校1年生(PL学園)で夏の甲子園に出た時、「こんなにスイングが遅い子が4番を打つのか」と思って見ていたんです。そうしたら、スイングは遅く見えるのにものすごく高い内野フライを打ち上げた。それを見た時に、「間違いなくプロの世界にくるだろうな」と思いましたね。
いまだに私のなかのキヨのイメージは、プロ1年目で31本のホームランを打ったといったことよりも、あの滞空時間の長い内野フライのほうが印象は強いんです。「俺はあんなフライを打てるかな」と衝撃を受けましたから。
――プロ1年目の清原さんの成績(打率.304、31本塁打、78打点、出塁率.392)も驚きではなかった?
松永 驚かなかったですね。あと、いい右バッターの条件のひとつとして、私は「右方向に打てること」を挙げていて、引っ張りだけのバッターはあまり評価できないんです。キヨはルーキー時代から右中間にもよく打っていましたよね。
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著者プロフィール
浜田哲男 (はまだ・てつお)
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界でのマーケティングプランナー・ライター業を経て独立。『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ系メディアで企画・編集・執筆に携わる。『Sportiva(スポルティーバ)』で「野球人生を変えた名将の言動」を連載中。『カレーの世界史』(SBビジュアル新書)など幅広いジャンルでの編集協力も多数。