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錦織圭、全豪OPは初戦から試練。よみがえる激闘の記憶「やりにくい相手」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 ましてや錦織にとって、ATPカップ初戦は2週間の完全隔離明けに経験した4カ月ぶりの公式戦。翌日の「筋肉痛がすごかった」のも当然であり、その痛みを残したままの身体が、本人のイメージについてこなかった側面はあっただろう。

 もうひとつの理由として考えられるのが、メドベージェフとシュワルツマンのプレースタイルの差である。

 今や「ツアー屈指の強打者」として畏怖されるメドベージェフは、錦織戦でも軌道の低い直線的なショットを、コート上のどこからでも打ち込んできた。そのスピードに対応していくなかで、錦織も必然的に早い展開でボールを打ち合い、鋭いウイナーをカウンターで決める場面もあった。

 対してシュワルツマンは、空間を広く使いながらラリーを組み立てる、いわば錦織と似たタイプ。その相手からポイントを奪うには、早いリズムで広角に展開し、自ら決めにいく必要があった。実戦から長く離れていたがゆえの"試合勘の欠如"は、そのような時ほど顕在化したのかもしれない。

 それらの条件を勘案すると、錦織は相当に厳しい試練に全豪オープン初戦で挑むことになる。対戦相手はパブロ・カレーニョ・ブスタ(スペイン)。世界ランク16位のオールラウンダーだ。

 歳も近い両者の対戦が過去一度というのはやや意外だが、その一回は誰にとっても忘れがたいものである。

 時は、2年前の全豪オープン。最終セットのタイブレークにもつれ込んだ5時間の死闘であり、しかもその終盤で微妙なジャッジが勝敗を左右し、物議をかもした試合でもあった。

 過去の対戦を時折忘れることもある錦織だが、さすがにこの激闘は深く記憶に刻み込まれていたようだ。

 今大会での対戦を控え、カレーニョ・ブスタの印象を問われた錦織は、「なんとなくやりにくい相手ですよね。ここですごい長い試合をして、あれ以来やっていないので」と即答する。

 そのうえで、「彼も、じっくりバックハンドを使ってプレーしてくる選手。自分の感覚次第ですが、なるべく早いタイミングでプレーしたいと思います」との意向を口にした。

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