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大坂なおみの戦い方が変わった。全豪OPで注目したい「分析力」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 相手を分析し、自身のプレーを適応させるという戦法は、かつての彼女にはなかった勝利へのアプローチだ。

長く「相手のことより、自分のプレーに集中している」と言い続けてきた大坂の哲学を変えたのは、おそらくは昨年からタッグを組んだコーチのウィム・フィセッテだろう。

 キム・クライシュテルス(ベルギー)やアンジェリック・ケルバー(ドイツ)らトッププレーヤーのコーチを歴任し、いずれの選手ともキャリア最高の時を共有してきたフィセッテは、データ分析と戦術立案に長けることで有名だ。知性派で知られるそのコーチを、昨年のこの時期の大坂は敬意を込めて「プロフェッサー」と呼んでいた。

 ただ、その畏敬の念には、緊張と萎縮も含まれる。

「あの頃の私は、彼の前に出ると緊張してしまい、正直、距離を置いていた」ことを、今になって彼女は明かした。

 そのような緊張感をはらむ関係に大きな変化が生じたのは、コロナ禍で試合のなかった期間。多くの時間をともに過ごし、互いをさらけ出しあうことで、距離は縮まり信頼が深まった。

 すると、「教授」と呼ぶほどに厳格だと思っていたコーチの「お茶目な一面」も見えてきたという。

「いつもノートを取っている姿にだまされちゃダメよ。実は彼、けっこうヌケたところもあるんだから」

 会見の席でそう笑う姿こそが、信頼関係の何よりもの証だ。

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 コーチの言葉に耳を傾けたことで、技術面で得た成長も、「相手を分析し、戦術を適応させられる」ようになった一因だ。

 とくに顕著なのが、バックボレーを片手で打ち、バックハンドのスライスも習得してきたこと。前哨戦ではそれらを披露する機会はそこまで多くなかったが、その前に行なわれたエキシビションマッチではドロップショットも果敢に試みている。

「ドロップショットやスライスはオフシーズン、たくさん練習してきた。それらを使うタイミングや打つ感覚を試したかった」と明かす成果は、全豪オープン本番でこそ生かされるだろう。

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