錦織圭、31才で変革の時。ネガティブ要素に打ち勝つことができるか
年の瀬が迫り、街にも慌ただしさと祝賀ムードが入り交じる、12月29日......。
31年前のこの日、錦織圭は島根県松江市で生を受けた。
寒さも極まる早朝のこと。病院でその誕生を待ちわびていた4歳の姉は、父に「まだなの?」と幾度も尋ねたという。
全豪オープンでの復帰を目指す錦織圭 錦織の姿が見られる日を、今や遅しと待ちわびる心境は、現在多くのファンが共有する期待感でもあるだろう。
2019年秋に右ひじにメスを入れ、復帰を目指すその最中に、テニス界はコロナ禍によるツアー中断期に突入した。2020年夏には新型コロナウイルスに感染し、復帰予定はさらに後ろ倒しになる。
最終的に実戦のコートに戻ったのは、術後1年近く経った2020年9月。その後は可能なかぎり大会に出る予定でいたが、全仏オープンで痛めた肩の炎症が治まらず、以降は試合に出ることなく今シーズを終えることとなった。
12月上旬の時点で、錦織はまだ肩の痛みは完全には消えてはおらず、サーブの練習はできていないと明かしている。
それでも、開幕が2021年2月8日に確定した全豪オープンに関しては、「今年中に治ってサーブが100%で打てる自信はあるので、(出場は)問題ない」と明言。
年齢のこともあり、ネガティブな声もささやかれるなか、「自分のなかで改善できる部分があるので、いけるなというか、楽しみな部分があります」と、穏やかな声に決意と矜持をにじませた。
錦織の言う「改善できる部分」とは、新たなコーチをチームに迎え、今までにない視座や声を取り入れているからこそ、実感できる伸びしろだろう。
新参謀の名は、マックス・ミルヌイ。6度のグランドスラム優勝を誇るダブルスの名手であり、41歳まで第一線で活躍した、息の長いキャリアの持ち主だ。
そして何より、錦織にとっては少年時代からその活躍を間近で見てきた、IMGアカデミーの大先輩。まだ何者でもなかったころの錦織とボールを打ち、プロの世界を身近に感じさせてくれた存在でもある。
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