錦織圭、涙の棄権。「マイアミの誓い」は6カ月後、ニューヨークで叶った (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 マイアミ大会でその成果が最も顕著に現れたのが、3回戦のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)戦。7−6、7−5のスコアで得た辛勝は、相手にブレークポイントをわずかひとつしか許さず、自身のサービスゲームはすべてキープし手にした、その実、盤石の勝利だった。

 ストロークの成長やプレースタイルの変化が最大限に発揮されたのが、フェデラーとの準々決勝である。

 この試合の立ち上がり、錦織はフェデラーの速い展開力についていけず、「まだ敵わないのか......」との敗北感すら脳裏をかすめた。

 だが、第2セットからはバウンド後の早いタイミングでボールを捉え、左右に打ち分ける錦織のスピードがフェデラーの時間を侵食していく。第3セットに入った時には「腕が振り抜けるようになり、違った自信が芽生えた。ストロークで負ける気がしなかった」と言うまでに、錦織はフェデラーを飲んでいた。

 深夜まで及んだこの熱戦の翌日、錦織はジョコビッチとの戦いのコートに立つことなく、準決勝敗退を受け入れる。

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