錦織圭、涙の棄権。「マイアミの誓い」は6カ月後、ニューヨークで叶った (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 マイアミ・オープン準決勝、対ジョコビッチ戦を控えたなかで急遽開かれたプレスカンファレンス。それは、錦織の棄権を告げるものだった。

 その前夜、錦織はロジャー・フェデラー(スイス)をフルセットの熱戦の末に破っていた。さらにその前日にも、炎天下のなか、当時4位のダビド・フェレール(スペイン)相手に3時間5分を走りきり、マッチポイントを4本しのいで勝利を奪い取っている。

 勝利への執着心と、それを支えるフィジカルの強さを示して至った、準決勝の舞台。だが、大会を迎える前に痛めていた股関節が、この時点でついに限界に達していた。

「コートに立つことは、できたかもしれない。でも、戦うことはできなかったと思う」

 悔しさを押し殺し、ぽつりぽつりと、彼は想いを込めた言葉をこぼす。

「いい試合がずっとできていただけに、準決勝で戦えないのは、本当に残念。でも今の状態では、ジョコビッチに勝つチャンスはないと思った」

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