テニスのトップ選手のリアルな声。コロナ禍で「どう気持ちを維持すれば...」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 土居が、そんなLINEを選手仲間の奈良くるみから受け取ったのは、「ドローが出るの、遅いな」といぶかしがり始めた頃合いである。

 あまりに予想外の文面に一瞬、目を疑ったが、大会からの公式発表も確認し、紛れもない事実であることを知った。大会は、拡大する新型コロナウイルスの影響を考慮し、開幕前日の夕方になって全スケジュールのキャンセルを発表したのである。

「こんなに大きな大会が、このタイミングで中止になるなんてあり得るの!?」

 正式な情報を目にしても、にわかには信じがたい。同時にあまりの急転直下の事態に、事の重大さをあらためて認識もした。

「(2週間後に開催予定の)マイアミ・オープンも中止になるかも......」

 そのような不安を抱えつつ、ツアー関係者に連絡を入れて情報収集を図っていく。

 大会中止が発表された翌日には、選手やコーチ、代理人たちを交えてのミーティングにも参加。その時点では、WTA(女子テニス協会)は「仮にマイアミが中止になっても、来週メキシコで開催予定の女子大会はやる」との旗幟(きし)を鮮明にしていた。

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