大坂なおみが15歳に屈した理由
「王者のメンタリティが備わってない」 (2ページ目)
試合のわずか20分後に会見室に現れた大坂は、落胆を隠せぬ様子ながらも浴びせられる質問に真摯に応じ、問われては答えるプロセスを通じて、自分の内に何が起きたかを解き明かしていくようだった。
「どうすればよかったと思うか?」の問いには、「もっとボールをコートに入れること」と苦笑をこぼす。
「初戦は大丈夫だったけれど、今日の試合はとても硬くなった。もちろん、タイトルを守ることも頭にあったけれど......それ以上に、彼女とは前回の対戦のこともあるし、試合前から過剰に騒がれていたし」
さらには、コーチ、トレーナー、ヒッティングパートナーら"チーム"の名をひとりひとり挙げながら、「みんなに申し訳ない。みんなの努力を無駄にしてしまった」とまつ毛を伏せる。
「頭ではどうすべきかわかっているのに、それができなかった」
「フィジカルは何も問題ないのに、理由もなくミスしてしまった」
心と身体が噛み合わないもどかしさを、彼女は素直に吐露していった。
それら大坂が自らに向けた問いを解くカギは、彼女自身が会見後半に口にした、次の言葉にあるのかもしれない。
「今日は、ナーバスになったというよりも、プレッシャーを感じていた」
プレッシャーを感じた訳は、「数字上では、私が勝つべきだと思われていたから」だと述べる。"プレッシャー=重圧"とは、自分が置かれた状況を考えた時に、外界から感じるものだ。
相手が15歳であること。前回の対戦で圧勝し、しかも試合後のやり取りが賞賛を浴びたこと。だからこそ、多くの人が今回も自分の勝利を予想しているだろうこと。負けたらチームの面々や両親が落胆するだろうこと......。
それらの周辺への考慮が、存在しなかったかもしれない圧力を生み、彼女の身体の自由を奪う。
「まるで、視界に靄がかかっているようだった」
コート上で陥った状態を、彼女はそのように表現した。
「私には、まだ"チャンピオンのメンタリティ"が備わっていないのだと思う」
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