大坂なおみはメンタル安定。全米敗戦を糧にアジアシーズンで巻き返す (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

 大坂とベンチッチは、2013年にツアー下部のITFペルハム大会(アメリカ・ニューヨーク州/サーフェスはクレー)で対戦したことがあるが、その時は大坂が6-3、6-3で勝っている。

「彼女(大坂)が完全に私を打ち負かしました。当時彼女のことをまったく知りませんでした。すでにパワーがありましたし、彼女が本当にいいプレーをしたので驚きました」(ベンチッチ)

 ベンチッチも大坂と同じ1997年生まれで、今後も2人の対戦は数多く行なわれ、ビッグタイトルを争う場面もあるだろう。今季3連敗を喫したベンチッチ対策を練るのは、今後、大坂が成長していくためにも必要となる。

 大坂は、グランドスラムのディフェンディングチャンピオンとしてプレーするのは今回が初めてだった。ツアーでは、2019年WTAインディアンウエルズ大会で初めてディフェンディングチャンピオンとしてプレーし、4回戦で敗れてタイトルを守ることができなかった(この時もベンチッチに敗退)。その経験から、全米で敗退しても、大坂は前をしっかりと見据え、精神面で成長していることをうかがわせた。

「インディアンウエルズでの敗戦より、負け方としてはましかなと感じています。もちろん受け入れるのは簡単ではないですけどね。今日たくさんのことを学んだように感じます。たとえ間違ったプレーで負けてしまっても、いつでも私は次の試合を戦えるのです。いいプレーができているのなら、私は次の戦いを楽しみにできるのです」

 思い出の地であるニューヨークで2連覇できなかったのは、もちろん悔しい結果ではあるだろう。だが、2019年ウィンブルドン初戦敗退時に見せた悲壮感はなく、次の試合、そして次の大会に目を向けて、気持ちを切り替えようとする姿勢が見られた。

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