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大坂なおみ「努力型の自分」に回帰。
全英は「脳を働かせないとダメ」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by Getty Images

 ランキングや実績にそぐわぬ初々しさを言葉ににじませる彼女は、質疑応答の文脈とはやや離れ、この日の練習時に感じたことを自ら語りだした。

「今日、思ったことがあって。マディソン・キーズ(アメリカ)と練習してた時に、『彼女ってすごい才能!』って思ったの。マディソンは、難しいことをいとも簡単にやってのける。その時にあらためて気づいたのが、私がグランドスラムで優勝できたのは、人より努力したからだということ。

 人々が私のことをどう思っているかはわからないけれど、私は天性の才能に恵まれたタイプではない。私はハードワーカー。それが今日、学んだことだった」

 24歳のキーズは現在16位で、2017年の全米オープン準優勝者。両者は似たプレースタイルと見なされ、何かと比較されることも多かったが、そのキーズとの練習を通じ、大坂は「自分の原点」に立ち返ったと言った。

 具体的には、自信を持って放ったサービスリターンを、キーズに事もなげにコーナーに打ち返された時に感じたという。「芝のコートで、どうポイントを組み立てるか」に頭を悩ましている彼女の目に、相手のその姿はなおのこと、天与の才と映ったのだろう。

 そしてだからこそ、「自分は努力しなくてはいけない」との覚悟を新たにした。

 テニスにおいて、生まれ持った才能やセンスが重要だと言われるプレーに、「スライス」がある。その真偽はともかくとして、逆回転がかかりバウンド後に低く滑るこのショットが、芝で威力を発揮することは確実だ。

 そして、バーミンガム大会の2試合で、大坂の対戦相手はいずれもスライスを多用してきた。相手選手のコーチが、「スライスが効果的だ。もっと使っていこう」と指示したように、大坂がスライスに手を焼いていたのは、誰の目にも明らかだ。

 敗れたユリア・プチンツェワ(カザフスタン)戦も、スライスを無理に打とうとしては、ミスを重ねた末の敗戦。試合後の大坂は、「まともに自分の考えを話せる状態ではなかった」ため、罰金を承知のうえで会見を欠席したほどに、深く落胆した。

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