2019.03.29

大坂なおみを「年寄りになった
気分にさせる」10代の新星が急成長!

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 こぼれそうな笑みをたたえる18歳は、カリフォルニアの刺すような陽射しを透過させ虹色に輝く”優勝の証(あかし)”に、初々しく腕を回した。

 その重さで有名なバカラ製のクリスタルトロフィーには、歴代優勝者たちの名が刻まれている。キャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、シモナ・ハレプ(ルーマニア)……それら世界1位経験者が並ぶなか、もっとも新しく記された名前が、大坂なおみ

大坂なおみの1強時代が来ると思われていたのだが......「去年はなおみが優勝して、その横に私の名が刻まれるなんて……まるでシンデレラストーリーね!」

 2019年の新女王は、ほほを紅潮させ声を弾ます。今年、4大大会に次ぐ格付けのBNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ)を制したのは、世界的には無名に近いルーマニア系カナダ人選手のビアンカ・アンドレスク(カナダ)だった。

 昨年のこの大会で大坂が優勝した時、多くのメディアは「Out of nowhere」のフレーズを好んで用いた。直訳すれば、「何もないところから」「どこからともなく」となるだろうか。実際には、テニスファンや識者の間ですでに次期女王候補と目されていた20歳を「何もないところ」と評するのは、やや失礼な話ではある。

 だが、まだツアー優勝がなかった当時44位の戴冠は、あまりに突然でセンセーショナルだったのも、また事実だ。その後、全米オープンを、そして今年に入り全豪オープンをも制して世界1位へと駆け上がった大坂の足取りは、シンデレラのそれになぞらえるにふさわしかった。

 1年前……大坂がインディアンウェルズを制したことを、アンドレスクは日本で知った。当時ランキング200位台だった彼女は、日本で開催される賞金総額25,000ドルの下部大会に、3大会連続で出場していたからだ。