大坂なおみはブレない。「バイン流哲学」で全豪初優勝を目指す (3ページ目)

  • 神 仁司●文・撮影 text&photo by Ko Hitoshi

 さらに大坂は、今大会での強さの要因を次のように自己分析している。

「この大会では、勝ちばかりにフォーカスし過ぎないようにしています。毎ポイント確実に100%トライしていくことがやりたいことです。幸いそれがうまくいっています」

 この大坂のスタイルは、彼女のツアーに帯同しているアレクサンドラ・バインコーチの教えに基づくものだ。

 全豪開幕前に、バインコーチに大坂が世界ナンバーワンになれる可能性があることを聞くと、そんな先のことを聞くなんて馬鹿げているという感じで一瞬顔をしかめた後、いつものように丁寧な口調でバイン流のテニス哲学を説明してくれた。

「なおみもチームもそのこと(世界1位)は考えていません。毎日ハードに取り組んで、ランキングは後からついてくるのです。(1回戦の前に)ナンバーワンのことは考えていませんし、グランドスラムタイトルのことは考えません。その日できるベストのことを考えるのです。

 そして、明日できるベストを考え、また明日、そのまた明日......。彼女がそれをこなしていったとき、試合に勝てる日が訪れる。そして、また明日です。できるだけ回復に努めて、また次の試合です。その繰り返しを毎日ゆっくりしていき、最終的にナンバーワンを自分の手に引き寄せることができるのです」

 大坂は、グランドスラムで昨年のUSオープン以来通算2回目の決勝進出。これは、オープン化以降、日本人選手でグランドスラム2大会連続の決勝進出は初めての快挙となる。

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