ハイレベルなラリーを制して4回戦へ。「これぞ、錦織圭」が冴え渡る (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text by Ko Hitoshi

 そして、「あそこまで流れが変わるとは思っていなかった」という錦織が徐々に調子を上げていき、第6ゲームから5ゲームを連取して、逆転でセットを先取した。

 第2セットも錦織が奪ったが、メンタルが屈強なシュワルツマンはあきらめない。闘争心を前面に出して、錦織から19本のミスを引き出すと、シュワルツマンが第3セットを奪い返した。

 再び錦織は自分を奮い立たせて、アグレッシブなテニスを心がけ、第4セットだけで12本のフォアハンドウィナーを放ち、ファーストサーブでのポイント確率は93%と高い数字を記録。これぞ錦織の攻撃テニスというものを試合の終盤に披露した。

 結局、錦織は63本のミスをしたものの、フォアハンドの22本のウィナーを含む49本のウィナーを決めて、3時間18分におよぶ熱戦の末、粘り強いシュワルツマンを振り切った。

 3回戦でのシード選手同士の対決で、より高いクオリティーのテニスを求められた錦織だったが、自らグランドストロークはトップ選手の一人だと認めるシュワルツマンに打ち勝つことができたのは大きい。ハイクオリティーなラリー戦の中から、錦織はさらに自分のいいテニスを引き出すことができた。

 これからグランドスラムの第2週目を戦っていくうえで、大きな武器にできるはずだ。

「自信は戻って来ています。今日(3回戦)も内容がよかったし、1、2回戦もよかったです。自信を持って攻めて、この2週間だけは、この調子で乗り切りたいですね」

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