今年も期待大。ウインブルドンが
大坂なおみに向いているワケ (2ページ目)
それでも、緑のコート上すべての選手が白を着用する光景を目にしたとき、「わ〜、これがウインブルドンなんだ」と、この会場にたゆたう歴史と伝統に身を浸した。それから1年が経ち、去年よりウインブルドンが身近に感じられることが、今年のうれしい点だと彼女は笑った。
短期間で増えていくそれらの記憶と同様に、芝でのプレー経験と自信をも、大坂は急ピッチで積み上げている。ビーナス戦の記憶に今を重ねて戦ったノッティンガムでは、自慢の高速サーブを武器にベスト4へと躍進。「芝は、一発でエースを決められるパワープレーヤー向き」との手触りを、確固たる手応えに変えつつある。
一方で、抱える最大の不安材料は、先週のバーミンガム大会で負った腹筋のケガだ。本日(6月30日)の練習はまだ「テスト」状態で、そこで「痛みなくプレーできた」ために、「明日からは全力でサーブも打てる」という状況である。
「テスト」という意味で言うなら、初戦の相手も今大会の大坂を占う試金石になるだろう。30歳のモニカ・ニクレスク(ルーマニア)はランキングこそ59位だが、バックのみならずフォアハンドからのショットも大半がスライスという 「ツアーでもっともトリッキーな選手」として有名だ。
滞空時間が長いものの、バウンド後には低く滑るショットで奏でる独特のリズムは、パワープレーヤー相手に大きな効果を発揮する。過去にはセリーナ・ウィリアムズ(アメリカ)らを苦しめ、今年の2月にはマリア・シャラポワ(ロシア)が餌食になった。
そのニクレスクと、女子テニス界屈指のパワープレーヤーに成長した大坂の対戦は、自ずと識者たちの関心を引く。今大会のドローが決まったときも、多くの報道陣がこの一戦を「初戦屈指の好カード」に推したほどだ。
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