錦織不在の全米OP。その重責は杉田祐一と大坂なおみに託された (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 敗戦の理由を、杉田は試合後に総括した。同時に、新たな地位とそれに伴うプレッシャーをいかに消化していくかは、今後しばらく、杉田が抱えていかなくてはいけない命題でもあるだろう。その意味では8月28日に開幕する全米オープンは、彼にとってひとつの試金石にもなる戦いだ。

「選手が圭を含めて抜けているので、自分にかかる期待が大きいのはわかっている。もちろん選手である以上、行けるところまで行きたい。自分のポジションを踏まえたうえで、しっかりやっていかなくてはとの思いがある」

 初出場の全米オープンにて、いきなり担うエースの重責――。その厳しい戦いに挑む杉田を試すかのように、初戦は331位で19歳のジェフリー・ブランカノー(フランス)、そこを突破すれば以降はリシャール・ガスケ(フランス)、そしてラファエル・ナダル(スペイン)との対戦が予想される険しき道が用意された。「日本のテニスを盛り上げたい」という責任感とともに、「ツアーでインパクトを残したい」という野心を実現するには、恰好のドローとも言えるだろう。

 日本女子勢では、やはり期待を集めるのは、6月のウインブルドンで3回戦に進出した大坂なおみ。前哨戦のトロント大会で痛めた腹筋の回復具合が気になるところだが、全米オープン開幕を3日後に控えた時点で「もう大丈夫。げんき!」と笑い、両手の親指をグッと立てた。

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