大切なポイントを取れない。
錦織圭が抱える「もどかしさ」の種は何か

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 試合後、さほど時間を置かず会見場に現れるのは、錦織圭には珍しいことだった。

 単なるスケジュールの都合か、あるいは、敗戦のショックがそうさせたのか......。

ミスショットを連発して自身に苛立ちを見せる錦織圭ミスショットを連発して自身に苛立ちを見せる錦織圭「どのセットもブレークポイントがあったなかで、なかなか最後まで取り切れなくて。それが一番、ストレスが溜まる戦いの原因になった」

 勝敗を分けたそのカギを、錦織は淡々と振り返る。試合を通じて11本あったブレークポイントのうち、実際にブレークできたのはわずかに2本。それが最大の敗因であることは、本人が誰よりもわかっている。

「大切なときほど、いいプレーができた。ピンチのときも冷静で、すごく集中していた」

 対するロベルト・バウティスタ・アグート(スペイン)も、勝因をその点に求める。バウティスタ・アグートは錦織が過去4連勝している相手ではあるが、うち3つはクレーコートで、ひとつはハードコートでの対戦。芝で戦うのは、今回が初めてであった。

 今大会で第18シードにつけるバウティスタ・アグートは、スペインの選手なだけにクレーが得意かと思われがちだが、キャリア通算5つのタイトルの内訳は「芝1」「クレー1」「ハード3」。しかも初タイトルが芝であり、このコートには自信と相性のよさも感じていた。

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