杉田祐一、惜敗にも充実の夏。次なる目標は「ランキング30位前後」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「ふーっ」と大きく吐き出した息に、3時間32分の熱戦による疲労が、敗戦の悔いが、そしてある種の充足感が、深く込められているようだった。

「第4セットの最初のゲームで、簡単なリターンミスが続いて......。相手もちょっと疲れていたので、あそこで引き離したかったんですが、うまくできずに.........やられちゃいました」

杉田祐一はウインブルドンの舞台でも臆することなく戦った杉田祐一はウインブルドンの舞台でも臆することなく戦った わずか5日前に酷暑のトルコでATPツアー初タイトルを掴み取り、ウインブルドンでも初勝利を手にした杉田祐一の快進撃は、2回戦で1-6、7-5、6-4、6-7、2-6の死闘の末に、ついに終止符が打たれる。その相手はくしくも、トルコ大会の決勝でタイトルを争った相手であった。

 杉田の疲労の色は、試合開始からほどなくして、誰の目にも明らかになる。

 身体の抑えが効かないのか、決めにいくショットがことごとく、大きくラインを割っていく。対するアドリアン・マナリノ(フランス)は、先の対戦時と同様に自ら攻めるのではなく、巧みにボールをすくい上げ、勢いを殺したボールを左右に打ち分けながら、杉田のミスを誘発した。

「ラリーしながら、自分の身体がうまくフィットしなくて」
「アドレナリンが出てこなかった」

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