ジャイアントキリング連発!
170cmの西岡良仁が「ダビデ」になった日 (4ページ目)
「ボールにパワーを伝えられない状態になっていた......」
2時間を超える試合のなか、蓄積された疲労が最後は、相手を抑え込む力をボールから奪っていた。それでも、試合終了の瞬間まで走り抜いた西岡のひたむきさが、敗者を称える万雷の拍手を引き起こす。四方に手を振りコートを去るその背に、対戦相手のワウリンカも立って拍手を送り続けた。
「惜しかったわね......」
試合を観戦していたアメリカ人女性のひとりが、西岡の背を見送りながら、そんな言葉をふと漏らす。
「私は、スタン(・ワウリンカ)の試合を見にきたの。でも、いつの間にかニシオカを応援していたわ。この試合を見ていた人は、きっとみんなそうよ」
体格を言い訳にせず、むしろ自らの美点に変えて戦う西岡の姿は、南カリフォルニアの砂漠の町で、見る者たちを惹きつけた。
羊飼いの少年ダビデの物語が、人々の心をとらえ続けてきたように......。
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