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松岡修造いわく「相性は悪くない」。
錦織圭が苦手な芝を克服するカギ (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 ちなみに、この錦織の発言に対応するような言葉を残したのは、ビッグサーバーのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)である。ウインブルドン3度の優勝者であるジョン・マッケンローを芝シーズン限定のコーチに雇ったラオニッチは、マッケンローから、「どうすれば相手にプレッシャーをかけられるか」を主に学んでいると言った。芝を得意とする選手とは、相手に"自分を大きく見せる術"を知る選手なのかもしれない。

 さて、ここまでネガティブな要素にばかり触れることになってしまったが、芝との相性は心の持ちよう次第であったり、プレーを多少適応させることで変わる部分もあるはずだ。たとえば、今では錦織がもっとも高い勝率を残すクレーは、数年前まで、「どうプレーすればよいかわからず、苦手意識しかなかった」サーフェスであった。それがマイケル・チャン・コーチのアドバイスを受け、意識と戦い方を少し変えたことにより、瞬(またた)く間に結果を残したのである。

 あるいは、ウインブルドンと同会場で開催された4年前のロンドンオリンピックでは、錦織は攻撃的なプレーでベスト8に勝ち上がっている。このときの彼は、「思い切って腕を振り抜いていこうと思ったことが、芝とうまく合わさった」と言っており、「自身の攻撃力が芝ではより生きる」と感じていた。実は錦織のプレーの特性そのものは、芝との相性がそこまで悪いわけではないのかもしれない。

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