2016.06.28

相手が打つよりも先に動く。
錦織圭の頭脳的な「サーブ誘導術」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 時速230キロに迫る超高速サーブも、結果的には、錦織圭をさほど苦しめることはなかった。

「リターンはよかったですね」

 ウインブルドン開幕戦後の会見で、開口一番、錦織は言った。「タフなサーバー相手に、あれだけリターンを返したのはよい収穫でした」。

正確な読みで強烈なサーブを攻略した錦織圭 左脇腹のケガもあり、不安を抱えながら迎えた今年のウインブルドン。その初戦の相手は、最速250キロ超えも記録する「ビッグサーバー」のサム・グロス(オーストラリア)であった。試合前には、「芝ではたぶん一番やりたくない選手ですね」と錦織も警戒したが、終わってみれば6-4、6-3、7-5でストレート勝利。特に第3セットは、ゲームカウント6-5で迎えた第12ゲームで集中力を上げ、ブレークで試合を決する勝負強さを発揮した。

「タイブレークに行ったら五分五分なので、あそこで獲れてよかったです」

 体力の消耗を抑えられたという意味でも、錦織はストレートでの勝利に安堵の表情を見せた。

"良いサーブ"の条件のひとつに、スピードがあるのは間違いないだろう。だが、それが十分条件でないことを、錦織は自らのプレーで証明してみせた。

 この日の試合で錦織は、試合を通して計6回、相手のサービスゲームをブレークしている。レシーブでのポイント獲得率も、43%と高い。それらよい数字の秘訣として、ひとつには、相手のサーブコースを「読めた」ことがあると錦織は言った。