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大坂なおみが語る日本への想い。
「有明は私のホームコート」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 ハイチ出身でアメリカ国籍の父と、日本人の母親を持ち、生まれは日本だが、3歳のころからアメリカ育ち――。そのような国際色の豊かな履歴は、時速200キロの超高速サーブに代表される潜在能力と相まって、多くの関係者たちの関心を引く。しかし、彼女はその手の質問を受けるたび、少し口をすぼめて、迷子のような表情を見せてきた。

「あの子は、国籍や人種というようなことは、何も気にしていないと思いますよ。今はテニスのことに集中して、日本人として頑張っていく......ということしか考えていないはず。テニスでうまくなって、大会に出て、自分のベストを尽くす。本当に単純にそこだけで、親が何人だとか、そんなことにはまったくとらわれていないと思います」

 娘の想いをそう代弁するのは、母親の環(たまき)さんである。

 たしかに、それもそうだろう。人種の坩堝(るつぼ)であり、数代さかのぼれば、すべての人がどこかしら異国からの移民であるアメリカでは、彼女のような境遇は特別珍しいものではない。彼女が抱いている「自分は自分」との想いは、細かいことに煩(わずら)わされず、「テニスはテニス」の本質をとらえる視座とも重なる。

 同時に彼女にとって、「日本人として、東京オリンピックに出場すること」が大きなモチベーションになっているのも、また間違いないようだ。

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