全豪ベスト4のカナディアン、ミロシュ・ラオニッチの知られざる素顔 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva   photo by AFLO

「カナダ人選手として○年ぶり」
「カナダ人として史上初」

 以降は彼が活躍するたび、そのような修飾の言葉が付随するようになる。デビスカップ(国別対抗戦)でも常に、エースとしてのプレッシャーを背負ってきた。それでもラオニッチ本人は、そのような役割に自覚的であり、大役を担うことに迷いを見せない。2年前、デビスカップのために来日したラオニッチは、カナダテニス急成長の理由を問われると、「良い質問だ」と言わんばかりの表情で、よどみなく語り始めた。

 新しいカナダテニス協会の会長が、優れた経営理念や組織運営の手法を導入したこと。フランステニス協会(FFT)から引き抜いた人材を強化部門のトップに据え、世界でもっとも優れた育成プログラムを持つと言われるFFTのノウハウを取り入れたこと......等々。

 20歳そこそこの青年とは思えぬ確信に満ちた語り口は、副首相の叔父や、大学教授の父親ゆずりだろうか。知的で落ち着き払ったその姿はコート上でも同様で、冷静に勝利への道筋やロジックを探すことができるのも、どこか超然とした雰囲気の漂うこの若者の強みだ。

 確固たる自分を持つ彼は、ファッションや身につける物にも、独特のこだわりを見せる。若いころは柔らかいクリクリのくせ毛を無造作に揺らしていたが、最近ではポマードで後ろになでつけたような、クラシカルなヘアスタイルが定番だ。

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