2015.11.20

負けても「楽しかった」錦織圭。フェデラー戦で得た「最高のご褒美」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

「久しぶりに、負けはしたけれど楽しめた一戦でした。もちろん、自分のプレーが良くないと楽しめないんですけど、それでもやっぱり彼のスーパーショットが決まるたびに、悔しいのは悔しいですが、同時に楽しみでもあったので」

 日ごろは「良いプレーをしても、勝たなくては意味がない」と口にすることの多い彼が、試合後に素直に「楽しかった」と認めた。もっとも、それは本人の言葉を待つまでもなく、ある程度予想できていたことでもある。1万人以上の観客が声援を送るなか、彼は、間違いなく楽しそうにプレーしていた。ヒリヒリするような精神戦も、あるいは相手から受けるプレッシャーにも、恐らく彼は、どこかで心躍らせていたに違いない。

今季初めての対戦となったフェデラー(左)と錦織圭(右) 現在世界ランキング3位、グランドスラム獲得数やランキング1位在位週は歴代1位。「史上最高のプレーヤー」「生きる伝説」とまで呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)は、錦織圭にとって、今でも相対すると、「初めて対戦したときのように、ワクワクする感覚がある」選手である。

「個人的な意見として、彼は見るのがもっとも楽しい選手のひとりだ」

 年間レースを勝ち抜いた上位8人のみによって競われる「ATPツアーファイナルズ」が開幕したとき、錦織についてそう語ったのは、フェデラーだ。