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負けても「楽しかった」錦織圭。フェデラー戦で得た「最高のご褒美」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 鋭いバックのクロス、クロスの打ち合いのなかからフォアに切り返す能力、そして低く直線的に飛ぶバックとは対照的に、鋭い弧を描くフォアハンドのストローク......。それらは、フェデラーをして「好きだ」と言わしめる、錦織の武器だ。その武器を、錦織は尊敬する選手に見せつけるかのように、惜しみなく相手コートに叩き込んだ。

 178センチの身体が雄大に舞い、会場内を照らす青白い照明が、躍動する錦織の影をコートに映す。フェデラーの変幻自在なプレーの数々に、錦織のイマジネーションも刺激を受けたのだろうか。強打のみならず、高く弾むループやドロップショット、フォアのスライスなども交えた、"遊び心あふれる"錦織のスーパープレーの数々が、ファンから声と拍手を引き出した。

 この試合の「ショット・オブ・ザ・マッチ」は、第1セットのゲームカウント3-3で飛び出した、ベースラインのはるか後方から放ってフェデラーの横を一直線に抜いたバックのパッシングショットだろうか。あるいは第3セットの第4ゲーム、完全にコート外に追い出されながらも軽やかに打ち返した、バックのスライス気味のダウンザラインへのウイナーだろうか。どのショットも捨てがたい。

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