2015.03.30

錦織圭を支える「最強バックハンド」の今と昔

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 10代の錦織圭と対戦経験や練習経験を持つ選手たちが、当時の彼のプレイを振り返り、一様に口にする言葉がある。

「フォアハンドの攻撃はすごいが、バックハンドはそれほど印象に残っていない」

強烈なバックハンドでポイントを連取した錦織圭 現在、日本人3番手の伊藤竜馬(世界ランキング103位)は17歳の錦織と初めて練習した時、「フォアのスピン回転が鋭く、どんどん攻めてくる。でもバックは、それほどでもなかった」と感じたと言い、満面の笑みを浮かべて、「今は、バックがヤバいんですけれどね」と付け加えた。

 ほぼ同じ感想を述べたのは、12歳のころから錦織を知る1歳年長のアレクサンドル・ドルゴポロフ(ウクライナ/最高13位・現在65位)だ。10代半ばのころに対戦した日の印象を、ドルゴポロフは「圭のプレイスタイルは今と変わらないが、バックは今のほうがはるかに良い」と言い、さらに興味深い分析を付け加えた。「以前の圭は走り回り、どんなボールも可能な限りフォアサイドに回りこんで打とうとしていた」。

 25歳を迎えて世界5位になった現在、錦織の武器を「バックハンド」だと見るライバルや識者は多い。例えば昨年の全米オープン開幕前、『ニューヨークタイムズ』誌に掲載された「識者たちが選ぶショット別ベストプレイヤー」では、「ベスト・ダブルバックハンド」部門で錦織は4位に食い込んだ。ちなみに1位はノバク・ジョコビッチ(セルビア/世界1位)で、以下アンディ・マリー(イギリス/世界4位)、トマシュ・ベルティヒ(チェコ/世界9位)と続いており、錦織を「最強バックハンド」に推した識者の中には、錦織の元コーチであるブラッド・ギルバートも含まれる。