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錦織圭が「自信」をつかむきっかけとなった一戦とは (3ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

「USオープンでの圭の全力疾走は、尋常じゃなかった。大会前は、プレーできるかどうかもわからなかったんだから。マリンは、決勝で素晴らしいプレーをした。少し残念なことに、圭は決勝の前にタフな3試合を戦ったから少し疲れていたと思うね。それでも、決勝に辿り着いたのは、信じられないような功績です」

 錦織は、USオープン4回戦から3連続でトップ10プレーヤーを破ったが、とりわけ準決勝で、世界ナンバーワンに返り咲いていたノバク・ジョコビッチを6-4、1-6、7-6、6-3で破ったのは見事だった。ニューヨークでの激戦の中で、錦織は、年初には測りかねていた世界の頂点との距離が縮まっていることを自覚したのだった。

「(世界の頂点に)格段と近づいている。一番自信になるのは、ノバク(・ジョコビッチ)に競り勝つことができたこと。自分が無理をしないテニスでも、1位の選手に勝てた」

 今季自己最多のツアー4勝を挙げた錦織は、ワールドツアーファイナルズにも日本男子として初出場を果たし、ベスト4に進出してシーズンを力強く終えた。

 日本男子選手が、グランドスラム決勝でプレーすることや、ワールドツアーファイナルズの舞台に立つことを、多くの日本テニス関係者が願ってきた。そして、14年シーズンに、錦織が次々とその夢を実現していったのだ。

 しかし錦織は、日本男子初の偉業という記録に満足していないはずだ。錦織の心の中には、トッププレーヤーとしてのプライドが芽生え、さらに大きな勝利を求める貪欲さがある。

 大きな飛躍を遂げた錦織の14年シーズンのマッチ成績は54勝14敗、勝率79.4%、自身初の50勝以上を記録し、13年シーズンの36勝19敗、65.4%から大きく向上した。

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