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錦織圭が「自信」をつかむきっかけとなった一戦とは (2ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 王者ナダルに敗れた直後、錦織は世界の頂点と自分との距離をまだ測りかねていたが、テニスの内容では決して負けていないと感じられた一戦だった。トップ選手との実力差が確実に縮まっている手応えをつかみかけていたように思う。錦織には、グランドスラムで優勝できるチャンスが訪れるかもしれないとあらためて認識させられた。そして、シーズン最後のグランドスラム・USオープンで、彼は世界との距離がそう遠くないことを示してくれた。

USオープン準優勝など飛躍の1年となった錦織圭USオープン準優勝など飛躍の1年となった錦織圭 大会前、錦織は右足の母指球にできたのう胞を除去する手術を受け、ニューヨークに入っても、まともに練習ができていなかった。そのため、1回戦だけでも勝てれば上出来だろうという状況だったが、大会が始まると快進撃が続き準優勝を飾った。

 今まで錦織の課題とされてきたサーブが、USオープンでは充実していた。決勝までに、サービスエースが30本、ファーストサーブが入ると74%でポイントを獲得し、サーブのキープ率が89%と高く、ブレークポイントを76%防いだ。

 14年シーズンに、チャンは、たとえ大会期間中の練習でも、錦織のフォームを一球一球チェックして、微調整が必要であれば指示した。たとえば、サーブのテークバック時に、錦織がラケットヘッドを下げてモーションが大きくなると、ラケットを上げてコンパクトにしろとすぐに修正を入れ、さらに、インパクト直後のフォロースルーをしっかり振り抜けと細かくアドバイスした。

 初めてのグランドスラム決勝で、マリン・チリッチにストレートで敗れた錦織を、チャンは懸命に励まし、彼の努力を労(ねぎら)った。

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