2014.06.04

【車いすテニス】国枝慎吾、4年ぶり全仏制覇に「秘策」あり

  • 荒木美晴●文 text by Araki Miharu
  • 吉村もと●写真 photo by Yoshimura Moto

 熱戦が繰り広げられている全仏オープンテニスは、現地時間の6月4日から車いすの部が始まる。世界ランキング上位の7人とワイルドカード1枠の8人のみが出場できるグランドスラム大会。注目は、何と言っても世界ランキング1位の国枝慎吾(ユニクロ)だ。パラリンピック2連覇中で、今年1月のメルボルンオープン優勝に続き、全豪オープンも単複二冠達成。世界ランク上位選手が集結した5月のジャパンオープンも制し、好調をキープしている。

全仏のコートのひとつ、スザンヌ・ランランをバックに笑顔をみせた国枝慎吾 実は、ローランギャロスでは2010年に単複優勝して以来、優勝から遠ざかっている。タイトル奪取に向けて、今回は出発直前にローランギャロスと同様のレッドクレーコートを擁するNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で合宿を行ない、現地入りした。

 全仏のクレーコートは、球速が遅くなり、ボールの弾み方が高くなるので、4大大会の中で最も波乱が起きやすく、この赤土のコートを「生き物だ」と話す選手もいる。とくに車いすの場合は、動けば動くほどコートに轍(わだち)ができ、そこに自分のタイヤがはまってしまうことがある。ターンすると車いすごと滑り、直線的に漕ぐときは重い。ローランギャロスは車いすテニスプレーヤーにとっても世界一過酷なのだ。

 そのクレーコートを得意とするのが、第2シードのステファン・ウデ(フランス)。一昨年、昨年と、決勝で国枝を破って優勝しているディフェンディングチャンピオンにして、国枝の最大のライバルだ。

「彼はスピードはないが、クレーでは他の選手も動きが遅くなるからあまり関係ない。それにクレーだと、彼の武器である高い打点から繰り出すパワーとラケットワークの上手さがより発揮できる」と国枝はウデの強さを分析する。

 全仏で勝つために、どうしたらよいのか? 国枝は、「車いすの高さを上げれば、確かに難しいバックハンドの高いボールにも対応できる。ウデのビデオを見ていて、自分も手っ取り早く車いすを上げたほうがいいのでは、と一瞬考えた」と心情を吐露する。