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クルム伊達、ダブルスのススメ「いつやるの?今でしょ!」 (3ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki photo by AFLO

 もちろんクルム伊達は、ダブルスが持つ技術研鑽の役割にも注目し、同時に、日本の選手たちもダブルスに積極的に出て欲しいと語る。そのような彼女の想いは、体格的にも日本人と大差のない164センチのバーバラ・ストリコバと組んだとき、より一層強いものとなった。

「バーバラ(・ストリコバ)と話をしている中でひとつ、日本人の若い子も参考にできると思ったことがありました。バーバラはクレー(土)育ちなのに、ボレーがすごく上手。『なぜ、そんなにネットプレイやボレーがうまいの?』と聞いたら、彼女は『子どものころにボレーをコーチから教わったとき、すごく楽しいと感じたから。だから小さいころは、ずっとボレーの練習をしていた』と言ったんです。でも、今の若い日本人選手は、1時間の練習時間があったら、ボレーの練習時間は10分もないくらい。バーバラはネットプレイがうまいので、パワーがなくても攻撃的なテニスができる。一発で押し込むのではなく、相手を動かしてスルスルと前に出たりするのが、すごくうまいんです」

 つまりは体格で劣る日本人こそ、ダブルスの技術や経験は重要であり、だからこそ若いころからダブルスに出ることを推奨する。

「今の若い世代には、ダブルスをして育ってきた選手が少ないと思います。コーチにしても、『まずはシングルスに専念』と言うのですが、私は、『今やらなければ、いつやるの?』と思うんです。シングルスで上位に行ったら、ますますダブルスとの両立は難しくなる。そこからボレーのテクニックを学ぶのも難しい。新しいテクニックを学ぶには若いほうが良いし、体力もあるうちにやっておかなくてはと思うんです。私は若いころにそうやって育ってきたし、今回のパートナーのバーバラにしても、若いころからダブルスをやったことで、ボレーの技術を会得したと言っていましたから」

 相棒のバーバラ・ストリコバとは、すでに今年の全仏、そしてウインブルドンでも組むことを約束したという。お互い、「私たちが最も得意なのは、芝!」と認識し合っているだけに、特にウインブルドンに掛ける想いは大きい。

 シングルスとダブルスの両立は、体力面では当然のように負担が大きくなる。それでもクルム伊達は、「今回の2大会は試合数を多くこなせた。アメリカの大会は時差や飛行機移動などで大変なことも多いけれど、『これぞツアー!』という感じ」と、日に焼けた顔を充実感で輝かせた。

 今年4月、クルム伊達の「再チャレンジ」は、7年目に突入する――。

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