2013.09.03

「ベストに近い」。クルム伊達公子が振り返る今季のグランドスラム

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi
  • photo by Ko Hitoshi

 クルム伊達公子のニューヨークでの夏が、大会第2週目を待たずに終わった。

 現役再チャレンジ後、2010年から4年連続でUSオープンの出場を果たしたものの、シングルスでの勝利はまたもやお預けとなった。

 今回のUSオープンだけではなく、夏の北米ハードコートシーズンを通して、クルム伊達は、自分のテニスがいいフィーリングではないことを悩み続けていた。加えて、持病である右アキレス腱痛が再発。思うようなテニスがまったくできず、フラストレーションが溜まるばかりで、彼女の表情は曇りがちなままだった。

USオープンでクルム伊達はミックスダブルスにも出場。ダビド・マレロと組んで2回戦に進出した 女子ダブルスも初戦で敗退したものの、ダビド・マレロと組んで初出場したミックスダブルスでは見事初勝利を手にした。マレロとのミックスダブルスは、ウインブルドンに続いて2回目で、2大会連続の初戦突破となった。

「ウインブルドンから間は空きましたけど、イメージは湧く。(パートナーに)任せるところは任せて、楽しんでプレイしました」(クルム伊達)

 マレロは、33歳のスペイン人。ダブルスランキング16位の実力者だ。ウインブルドンに続く初戦突破に、マレロからも笑顔がこぼれた。マレロは、クルム伊達がミックスのパートナーに決まった時、友人に「若い女子選手とプレイするんだ」と説明したという。それほど、彼にはクルム伊達が若々しく見えるという。

「公子は、42歳に見えないよ。本当に体がフィットしている。とてもプレイしやすい。いつも笑顔だし、サポートしてくれる。自分にとってベストのプレイヤーだ」

 一方、クルム伊達は、スロースターターのマレロを、ダブルスのパートナーとして優しい笑顔で見守る。

「彼は、出だしがあまり良くないけど、いざとなると頼もしいサーブもある。自分で(自分のことを)『闘牛だ』と言っていて、何か燃えるものがないとだめで、追い詰められてやっと本領発揮をするそうです(笑)」

 ミックス2回戦でも、クルム伊達/マレロ組は、息の合ったプレイを見せていたが、勝負の分かれ目でミスが出て、第5シードのペアに敗れてベスト8入りを逃した。実はマレロは、前日の練習で足をねんざして炎症止めを飲んでいた。試合ではいつもどおり動いていたように見えたが、やはりどこかにケガの影響があったのか、力及ばなかった。